
「人はどこから来て、どこへ行くのか?彼らはそれを探していたのだろう。」
(デッカード「ブレードランナー」)
目覚めると、船の上だった。
空はどこまでも青かった。風がさわやかに吹き、帆を揺らしていた。
私が鱗の音をガシャガシャ立てて起き上がると、
左の目に眼帯をつけた髭面の男が笑いながらこう話しかけてきた。
「ハッハッハッハ。目覚めたかね?さっきまでびしょぬれの鼠みたいだったぜ。」
「む・・」と私が男をにらむと、
「冗談だよ。怒るな。ハッハッハ」と男は笑い、こちらに頭を下げた。
「私はキャプテン ドレイク・ヴァルロス。この船は遠い旅路にでているんだ。
そして、君は海で漂っているところをこの船に救われたんだよ。」
私は己がこの船で目覚めた理由が分かったが、それ以前の記憶は濃い霧の中にあるように感じた。
私は成り行きに任せて、この船に同乗させて貰う事にした。
ヴァルロスの話ではこの船は The Isle of Refugeeと言う島へ向かっているらしい。
風が強くなり、海が大きくうねり始めた。
ヴァルロスが帆をいっぱいにするよう指示し、船員が忙しく動き回る。
ひときは大きな足音を立てるハーフエルフの女船員はイングリッドと言うらしいが、
船を潰す気か、とヴァルロスに怒鳴られていた。
彼女は「Aye,aye,Captain」と答えて地響きを立てて持ち場に戻り、私はそれを見て大きく息を吸い込む。
船が速度を上げた。
旅の始まりにしては、良い滑り出しと言えるだろう。